中古品とのつきあいは「出会い」である。
いくらほしいと思っても、出会えないものは買えない。
現行品のCDのようにどこかで必ず手に入るというものではないのだ。
インターネットによって中古品の入手環境は随分変化した。
しかし、みつからないものは絶対に買えない。
ほしいものをさらっと見つけられる場合もあるが、探しても探しても見つからないものもある。
さらっと見つからない場合のほうが多いくらいかもしれない。
つまり中古品は、ほしいと思ったタイミングでほしいと思ったものを手にいれるが難しい場合が多い、ということだ。
ほしければほしいほど、想いは募る。
不思議なもので探すほどに、ほしくなる。
「そのうち買おう」と思いながらずっと手に入らないものもある。
中古品でありながら店頭で比較的良く見かけるので、そのうち買おうと思っているうち、気が付くと姿を消しているなんていうものがある。
あれ最近見ないなあ、なんて思うとがぜんほしくなったりして。
これもやっかいである。
私はアンドレ・プレヴィンというピアニストが好きだ。
いまやクラシック界の人である。
「マエストロ」なんて呼ばれる大物らしい。
プレイヤではなくコンダクターとして有名のようである。
私の好きなアンドレ・プレヴィンは、ジャズピアニストのほうである。
若かりしの彼はバリバリの人気ジャズピアニストであった。
アンドレ・プレヴィンのジャズ界での評価はそう高くない、と思われる。
中古レコード店でも古い彼のレコードは比較的良く見かけるし安価である場合が多い。
ジャズファンには「マイ・フェア・レディ」のアンドレ・プレヴィン、であろうか。
あるいは、「キング・サイズ」のアンドレ・プレヴィン、であろうか。
ご多分にもれず私も「マイ・フェア・レディ」で彼のプレイに出会った。
ジャズを聴きはじめて間もない頃に聴いてノックアウトされてしまった。
透明な音色とスピード感あふれるタッチに魅了された。
シェリー・マンの小気味よいブラシとのつきあいもこのレコードからだった。
そして、コンテンポラリーというレコードレーベルのこともこのレコードの音の良さに驚き意識するようになった。
コロンビアからリリースされたこのレコードでもアンドレ・プレヴィンとシェリー・マンは共演している。
ベースはレイ・ブラウン、ハーブ・エリスのギターである。
コンテンポラリーの人気シリーズ「ポール・ウィナーズ」にアンドレ・プレヴィンを加えたような企画である。
バーニー・ケッセルのスケジュールを押さえられなかったのでハーブ・エリスに声をかけた、というのがこのレコードの誕生由来だったりして。
そのうち買おうと思いながらいままでずっとスルーしてきた1枚である。
このメンバーで内容が悪かろうはずはない、が逆効果になり買うのがのびのびになった、と自己分析する。
ANDRE PREVIN, HERB ELLIS, SHELLY MANNE, RAY BROWN / 4 To Go!
COLUMBIA RECORDS CL2018
今回ようやく購入するにいたった理由は単純である。
通常「赤ラベル」のはずのこのレコードが「白ラベル」だったのである。
「コロンビアの2アイ」なのに赤でなく白ラベル。
面白い。
白はプロモーション盤である。
関係者に配られたレコードなのである。
でもってモノラル盤。
ついにわが家にやってくることとなった。
嬉しい。