レコード・コレクターズ11月号がインパルスの特集をやると@カツさんに教えていただき、とても楽しみにしてきた。
早速手にし、むさぼるように読んだ。
これは素晴らしい特集だ。
わくわくしながら読んで、次々レコードが聴きたくなった。
何しろ、オレンジと黒の初期センターレーベルを見ただけて胸がときめいてしまうくらいインパルスが好きなんだ。
以前は、全タイトル入手してやる!くらいの勢いだったが、今はそれほどではない。
70年代以降のタイトルにはほとんど興味がないことがこの特集ではっきりしたことだし、とりあえず、オレンジ/黒のセンターレーベルだった、レコード番号9135までをがんばってみようか、と決意を新たにしたのだった(笑)
あくまでも「私は」であるから、70年代以降のインパルスもお好きな方はご気分害されないでいただきたい。
インパルスの素晴らしさは音楽だけではない。
私の場合、いきなりこの切り口である。
レコード会社であるから、音楽に魅力が無くてどうする、と思うのだ。
その上で、音楽とは別の要素が加わってこそ魅力的になると考える。
そう、あなたもインパルスのレコードを手にすれば、きっとこのレーベルの魅力がお分かりいただけるだろう。
ジャケットデザインの美しさ、秀逸なロゴマーク、コーティングされた見開きのジャケット。
音楽にモノとしての美しさが加わって、それがインパルスというレーベルの魅力になっているのである。
ジャズレコードのジャケットデザインといえば、まずブルー・ノート・レコードであることは皆の意見が一致するところであろう。
そのブルー・ノートのジャケットデザインを手本として、インパルスはフルカラーの写真とタイポグラフィ(文字のデザイン、レイアウト)で見せる。
なかには、これはいかがなものか、というジャケットデザインも実際のところ、ある。
ブルー・ノートの完成度に対して、レコードジャケットにおいては若干劣るのは否めないが、音楽においてはインパルスもなかなかのモノである。
インパルスの最初期のセンターレーベルのデザインをご存知だろうか。
通称「オレンジ」と呼ばれる、オレンジ、黒、白の3色で構成されたセンターレーベルである。
「i」と「!」を組み合わせた小粋なシンボルマーク、社名ロゴ、そして内周はオレンジ1色、そこにアルバムタイトルや曲名が記されている。
このセンターレーベルを初めて見たのはスイングジャーナル/新星堂の共同企画盤によってであった。
「可能な限りオリジナル仕様を忠実に再現する」というコンセプトの再発企画を知り、そのなかからカウント・ベイシーの「カンサス・シティ7」を買った。
このレコードは再発US盤で愛聴していたのだが、手にしてそのセンターレーベルの素敵さに一目惚れしたのであった。
そして、再発にしてこれなら本物はどんな色なのだろうと欲が出た。
つまり、インパルスの「ホンモノ」が欲しくなってしまったのだ。
その後、ほどなくカンサス・シティ7の「ホンモノ」盤を入手。
これが素晴らしくて可愛くて、モノ盤、ステレオ盤とこれまで延べ5枚以上買っただろうか。
いまはモノ盤だけが手元にあるがこれで満足している。
多くのジャズファンにとって、この特集一番の驚きは、初期ステレオ録音制作時、ステレオ再生は意識されていなかった!という事実であろう。
この事実が、ルディ・ヴァン・ゲルダー(インパルスやブルーノートで数多くの名盤の録音を手がけたエンジニア)自身の言葉で明かされたことがなにより重要だ。
気になる方は、是非ともインパルス特集をお読みいただきたい。
本人曰く、自分のステレオ録音のスタイルが確立したのは70年代前半だという。
ウ〜ン…。
もともとジャズのレコードコレクターはモノ盤にこだわるのだけれど、これによりますますモノ盤の人気が上がるのではないか。
しかしこの発言、驚いたのなんって…。
この特集には、「重要アルバム102選」というディスクガイドがある。
そう聞けば、あれやこれや有名盤が頭に浮かぶ方も多いだろう。
コルトレーンやギル・エヴァンスの諸作、シェリー・マンやオリバー・ネルソンのレコードなど。
私はその一方で「あのレコードはでてないだろうなあ」と1枚のインパルス盤を想像していた。
大好きなんだけどきっとのってないんだろうなあ、と。
しかし予想に反してのっていたのである。
そのレコードとはこれ(写真参照)。
THE PEE WEE RUSSELL with MARSHALL BROWN / Ask Me Now!
ピー・ウィー・ラッセルは、スウィング以前のディキシーランドスタイルで知られる大酒飲みのクラリネット奏者である。
私がピー・ウィーに興味をもったのは、ビル・クロウというジャズベーシストの回顧録「さよならバードランド」を読んでからである。
この「Ask Me Now!」では、トロンボーンのマーシャル・ブラウンと組んでこの時代('66)のモダンなジャズ、オーネット・コールマンやモンク、コルトレーンなどに取り組んでいる。
しかし、そこは百戦錬磨の超ベテランのこと自分のスタイルをそうやすやすと変えられる訳もなく、気が付けばディキシー&スウィングというのんびりした素顔が出てきてしまう。
しかしそれが意外にというか、案外というか、とにかく身持ちよいのだ。
毎日のように聴きたいレコードではないが、思い出したように聴きたくなるレコードなのだ。
そしてこの白いセンターレーベルは、インパルスのプロモーション盤といわれている。
オレンジに見慣れた目にはとても新鮮で嬉しい。
実は、この特集で個人的にもっとも驚いたのは、インパルスの頭文字「i」と、ビックリマーク「!」を組み合わせたトレードマークについての事実であった。
なんと、これを考案したのはインパルスを立ち上げたプロデューサー、クリード・テイラーの女性秘書なのだという。
その名は、マーゴ・ヤーガン。
・・・。
なんとあの「
テイク・ア・ピクチャー」のマーゴであった。
こんなところで彼女の名前を聞くとはね!
またこの特集では、以前このブログで紹介した「
水色のインパルス」が、このレーベルから2枚だけリリースされたフォークアルバムということが判明。
しかし、MICHAEL BROWNとは一体誰なのでしょうか?
検索してもいまだに何も情報が出てこない。
そして、レコードコレクターズ12月号はビーチ・ボーイズ「スマイル」特集。
そりゃもう「スマイル」は国内盤で予約したっすよ。
2枚組のやつだけど(笑)
5枚組+α盤は将来的にUS盤を中古でほしい(爆笑)