ちび達がまだ小学校に上がっていない頃だから、5年くらい前のことだ。
休日の朝早くに目が覚めてしまい、もう眠れなくなってしまった。
そういうことがときどきある。
6時すぎで、外はもう明るくなっていた。
私がごそごそしていたからだろう、ちびっ子2号(男子)が起きてきた。
いつもは目覚ましが鳴ってもぜったい起きないし、起こしてもまた寝ちゃうのに、ちびっ子2号はその日に限ってぱっちりと目が覚めてしまったようだ。
「眠れなくなっちゃったよお」とちびっ子2号。
「それじゃ、散歩でも行こうか」
ちびっ子2号は目を輝かせて、うん!と言った。
そして、財布持ってよね、とちびっ子2号は私に言った。
その少し前に、ちびっ子1号(女子)と出掛けたときに2人でジュースを飲んだとかって話したことを憶えてたのである。
起きたばかりでもちびっ子はこういうの絶対に忘れないんだ、可愛いね。
自転車にちびっ子2号を乗せて世田谷公園へ行き噴水前の広場に座る。
早朝の噴水は水を吹き上げる事無くシンと静まり返っている。
ぱりっとおろしたての風が通り抜ける。
とても気持良い。
となりでちびっ子2号は嬉しそうにコーラを飲んでいる。
楽しそうに昨日あったことをしゃべり続けている。
広場に人が増えてきていることに気がついた。
集まっているのはほとんどがお年寄りのようで一カ所に集まるでもなく一定に間隔を空けて広がっていた。
すると突然音楽が大きな音で流れ出した。
ラジオ体操だった。
そうか、だから間隔を空けて集まっていたのか。
「これ知ってる?」とちびっ子2号に聞くと、知らない、と言う。
公園に流れるラジオ体操に合わせて私も体を動かしてみる。
ちびっ子2号は「オトーサン、何でできるの!」と喜んでいる。
「この体操は大きくなるとみんな出来るようになるんだよ」
「へえ」とちびっ子2号は言ってコーラをもうひとくち飲んだ。
hiyohiyoさんから素敵な選曲のお題を2ついただいた。
まずは「朝の散歩のときに聴きたい3曲」からいってみようと思う。
お題から思い出したのが冒頭のエピソードだった。
そしてそのエピソードから連想したのがRICKIE LEE JONESのこの曲だった。
1.RICKIE LEE JONES / Dat Dare(「POP POP」より)
Hey mama, what’s dat dere?
And what’s dat doin' dere?
Hey mama, up here! Mama, look at dat over dere!
ねぇママ、あれ、なーに?
あそこで、なにしてるの?
ねぇママ、こっちきてー!
あっちあっち、みてみて!
ダットデア(That There)とは、舌足らずな子供の発音を真似た洒落たタイトル。
作曲はジャズメッセンジャーにも在籍したジャズピアニストのボビー・ティモンズ。
これもすでにスタンナードナンバーといっても良いだろうか。
その曲に歌詞をつけたのがオスカーブラウンジュニア。
かまってちゃんな子供が母親に質問を次から次へ投げかけるという歌詞。
リッキーリーにぴったりなとても愛らしい曲なのだ。
子供の目に見えるすべては新鮮、世界は驚異に満ちている、というとっても素敵な曲。
2.BLOSSOM DEARIE / I'm Hip(「1975」より)
ブロッサム・ディアリーにも散歩向きの素敵な曲はたくさんあるのだけれど、YouTubeで見れることを条件に探した結果この曲を選んだ。
彼女のカワイイ声が聴く人を選ぶのだけれど、彼女のリズミ感とメロディックな気持良さが歩くスピードにちょうど良い。
「私はヒップなのよ」と唄われたら、私、降参であります。
3.LOU REED / Walk On The Wild Side(「TRANSFORMER」より)
印象的なベースラインにドラムのブラシが入ってくるイントロを聴くたびに、行ったことのないニューヨークの街が頭の中に広がる。
それはきっと今はない、すでに失われたニューヨークなんだろう。
アンディ・ウォーホル、ファクトリー、イーディ・セジウィック、マックスカンザスシティ...。
神経質で自意識過剰で自信満々で臆病な、いかれたやっかいな人たち。
闇とともに活動する人たちが、家へと帰る朝に流れるのはきっとこんな曲だろう。
彼らはワイルドサイドを歩いているんだ。
よろしければ、 朝の散歩のときにあなたが聴きたい曲を教えてください。
もちろん、3曲じゃなくてもOKです。
コメント欄からぜひ!
もう一つのお題「宵の散歩に聴きたい3曲」は近日公開予定。
少々お待ちを。