私はいろいろなことに想い悩んできた。
他人にすればどうでもよいであろうささいなことを気にやむことが多かった。
自意識過剰、あるいはコンプレックスってやつだ。
考えてどうなることでもないことをあれやこれやと抱えていた。
30歳くらいまではかなり息苦しい日々を過ごしていた、と今になって思う。
しかし人生も中年の域に入ったこの頃では、そんな自分の性格にもなんとかお折り合いが付けられるようになってきている。
実際、かなり楽に日々を過ごすことが出来るようになっている。
もちろん「コンプレックス」ということに限って言えばであって、新たな悩みは尽きないのだけれど。
ささいなことにあまり捕われなくなっている自分に気付いた時に、年を取るのも悪くない、そう思えるようになった。
「オヤジ」と言われるいう歳になることに、軽い恐怖のような気持ちがあった。
が、歳をとることを許してしまえばそれだけでまたずいぶん楽になることに気付いた。
歳に抗うことをやめて「ま、いっか」と身をゆだねてしまえばいいのだ。
先日入手したこのレコードを聴くのも、オヤジ化した自分に喜びを感じる瞬間である。
年を取るのも悪くない、のである。
GERRY WIGGINS / RELAX AND ENJOY IT! (CONTEMPORARY M3595)
実に地味なピアノトリオである。
噛み締めるほどに味が出て来る。
リラックスした、ジャズの楽しさに満ちたレコードである。
1962年、ロサンジェルスのコンテンポラリースタジオでロイ・デュナンによって録音されたサウンドは、繊細で柔らかで温かい。
演奏といい、サウンドといい、コンテンポラリーレコードここにあり!という素晴らしさである。
ブルー・ノートこそがジャズ、ヴァン・ゲルダーこそがジャズサウンド、とお考えのハードバップ原理主義者には決してお薦めしないが、昼間にビールなど飲みながらリラッスするには最適な1枚ではないか。
「RELAX」って大書きのジャケットがまた素晴らしくてね(笑)
このレコードを聴きながら、自意識の呪縛から解放されているのを実感する日々なのである。
このレコードとは直接関係ありませんが、Benny Carter と Harry "Sweets" Edison のバックで GERRY WIGGINS がピアノを弾いています。どうぞ。