古い音楽をこよなく愛するものが、あるアルバムを欲しいと思った場合、今やいろいろな選択肢がある。
取り敢えず聴く事を優先しメディアを選ばなければ、iTuneStoreなどで楽曲データを購入できるし、CDをアマゾンで買うこともできる。
もちろん、すべての楽曲がデータ販売されてはいないし、CD化されていないアルバムも意外と多い。
そんな時でも、各種ネットオークションを利用すればオリジナルアナログ盤が見つかるかもしれない。
国内だけじゃなく、海外のレコード屋さんのサイトからだって簡単に取寄せる事ができる。
英語ができなくても、非英語圏でも、翻訳サイトを使って何とかなってしまうかもしれない。
試した事は無いが(笑)
つまり、インターネットの普及する前と後では、買い物環境の変貌ぶりには凄まじいものがある。
家にいながらにして何の苦もなく手元に届けられるレコードやCD。
つまり、数百数千のレコードの中から、手を真っ黒にし、カビ臭い空気にむせながらお目当てのブツを探す必要はないのだ。
地図を片手にお目当てのレコード屋を探して炎天下を彷徨う必要だってない。
すべては、ネット空間で完結しクレジットカードで決済可能。
居心地の良い自分の部屋で、コーヒーの入ったマグを片手に、タタっと検索をかければ良いのだ。
これこそがモダンライフ。
クリーンでスマートなミュージックラバー。
スタイリッシュかつアーバンな趣味人(笑)
なのに、なのに…。
あんなに欲しかったレコードが手元にやってきたのに、
なんとなく満ち足りない気持ちが残るのは何故だろう?
翌日にはテレビでお笑い番組を見ているのは何故だろう?
なのに、どうして今夜も次から次へとモニター画面を眺めて検索しているのだろう?
結局、私は昔ながらのレコードショップに足を運び、手がだるくなるくらいレコードを探すのが好きなのではないか。
キズだらけのジャケットを、店の隅から隅まで何百枚もさくさくし続けるのが好きなのではないか。
目はかすみ、手がだるくなってきても、まだ探す。
それでも目ぼしいモノが見つからない、なんてのもざら。
そんなときはレコード屋のはしごだってする。
あげく、大して欲しくもないレコードをうっかり買いそうになる。
イカンイカン。
ガマン、ガマン(笑)
そんなやるせないことが続いたある日、処分品の箱にきらめく宝石のようなレコードが放り込まれているのを発見したりする。
やった!
これぞレコードハンティングの醍醐味。
よくぞこんなレコードが私を待ってくれていたものだ、という驚き。
シュリンク付きのオリジナルだ!
ピッカピカのミント盤!!。
MICHAEL FRANKS / ART OF TEA
75年にリリースされた、メジャーデビューアルバム。
洗練された雰囲気、ドライなユーモア、クロスオーバーな魅力満載。
すでに完成されたマイケル・フランクスの世界もさることながら、バックを固めるミュージシャンにも目を見張る。
そして、耳を奪われる。
しょっぱなから浮遊感一杯のラリー・カールトンのギター。
深夜、高速道路の疾走感。
ジョー・サンプルのエレピ。
デヴィッド・サンボーン、マイケル・ブレッカー、そして、ニック・デカロにトミー・リピューマ。
このジャケットの素っ気なさは、バックにお金をかけすぎたからに違いない(笑)
もっとも、長年親しんだ国内盤に比べてどれだけ音が良いのだろうか。
ウ〜ン、どうだろう?
良くなった気がする(笑)