MONOmonologueモノ(物→コレクション)とMONO(モノラルサウンド→レコード)をこよなく愛するオヤジの徒然日記。

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気になる人がいる、という幸せ 11:36

買う気があった訳ではない。
むしろ買う気などまったく無かった。
「ぼくは散歩と雑学が好きだった。 小西康陽のコラム1993-2008」
書店で手に取ってこの本をぱらぱらと眺めてみた。
それぞれのコーナーに実に小西康陽らしい洒落たタイトルがついている。

 「あなたのオーディオ装置は正しく接続されていますか?」
 「戦争に反対する唯一の手段は。」
 「ぼくが京都のホテルに何日か泊まっていたときのこと」

などなどなど。
少し読んでみる。
短いコラムの中に広がりを持った世界が浮かび上がる。
やるなァ、名人芸だなァ。
もいちど最初から見てみようと開いたページには献辞が書かれた。

 杉村詩子に。

背筋にぴんと何かが走った。
この1行に涙が出そうなくらい感動していた。
そして私はこの本を買っていた。


私には思い出されるシーンがある。
それは90年代の後半だったと思う。
一度、小西康陽を見かけたことがあるのだ。
薄曇りの日で、少し肌寒い初夏のことだった。
日が傾きだした頃、駒沢通りと山手通りの交差する辺りを向こうから歩いてきた。
彼は代官山からの道を下ってきたのだ。

彼は視線を落とし難しい顔をしていた。
難しい顔というよりも、呆然と歩いてるというようなただならぬ雰囲気だった。
ぽつりぽつりと雨が降り出していた。
彼はそんなことに気付きもせず歩いていく。

彼とすれ違った。
そして私は彼が一人ではないことに気が付いた。
彼のすぐ後ろを女性が歩いていたのだ。
彼女には表情がなかった。
二人は言葉をかわすこともなく、並ぶこともなく歩いていく。
どんよりとした空の下、寒々しい空の下、雨が降り出した大きな通りを歩いていった。

彼のイメージと私が見たその光景はとてつもなく隔たっていた。
当時、彼はピチカート・ファイヴというグループをやっていた。
東京の音楽シーンは彼を中心に回っているといっても過言ではなかった。
「渋谷系」と呼ばれるムーブメントがあり彼はその中心的存在だったのだ。
古今のポップカルチャーへの愛をキラキラとしたサウンドに仕立て上げ、コンテンポラリー・プロダクションがまばゆいばかりに素敵なコーティングを施していた。

彼とすれ違ったことは大きな驚きだった。
これは好きなミュージシャンを見かけて嬉しいというような無邪気なものではない。
アーティスト「小西康陽」としてではなく、家庭があり、暮らしがあり、生活の中での苦悩があるひとりの人間としてすれ違ってしまったのだ。
彼の極めて私的な生活を垣間見てしまったのだ。

その後、彼は離婚したと聞いた。
すれ違った時に一緒だったのが奥様だったのかも分からないし、二人の間に何があったのかを知りたいとも思わない。
しかし娘さんがひとりいらっしゃるということを聞いていた。
私は、彼と娘さんとの関係が気になっていた。
娘さんの名は「詩子」という。

今では私も父親となり、彼の苦悩を、生活に根ざした苦悩を想像する。
娘と離れて暮らすことを想像する。


これは素敵な本だ。
小西康陽の過去のインタビューやレコード評、映画評、コラム、日記などを集めた「バラエティーブック」である。
もしあなたがポップミュージックや映画、いわゆるサブカルチャーが好きならば手に取ってみることをお薦めする。
タイトルからしてJJ氏そのままだし、カヴァーを外したときのチャーミングさなど本好きにも楽しい作りとなっている。
そしてなにより晶文社への素敵なオマージュだ。

この本に出会えたことを嬉しく思う。
1行の献辞を見ななければおそらく買うことはなかっただろう。
こんな風に本と出会うこともあるのだ。

当然だが私の個人的な話はこの本とは何の関係もない。






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| BOOKS & MAGAZINES | comments(12) | trackbacks(33) | posted by mono-mono
Such a mouth ! 19:24

マイルス・デイヴィスはルイ・アームストロングの音楽には敬意を評しながらも、ステージでの笑顔のパフォーマンスを観客に媚びているようだと非難していたらしい。
さすがはマイルス。
観客に背を向けて演奏するくらいだもんね(笑)

ルイはいつもどうしてあんなにもはち切れんばかりの笑顔なのか?
彼自身演奏することが楽しくて仕方なかったからではないのかな。
だって、トランペットの音色が笑っているもんね。
音楽ってこんなにも楽しいんだから一緒に踊ろうよ!って。
いろいろ大変なことも多いけど、こうしてリズムにのってる間は一緒に楽しもうよ!って。

でも彼の笑顔の裏側にはどんな世界があったのだろう?
ピエロの涙みたいな話はなかったのかな?
それがちょっと気になる。

このEPはなんだかやたらと音が悪い(笑)
SP音源なのでしょうか。
音圧も低め。
音は悪いながらも艶やかなルイの音色が伝わる!
このTRIXIE SMITH, MA RAINEY 共演のブルース集でルイはコルネットを吹いている。
これもやっぱり楽しい。

ルイのラップと凄〜いハイノート&ロングトーンが楽しめる1933年の映像です。
ご覧あれ!!



プラスおまけ




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| RECORDS - JAZZ | comments(4) | trackbacks(11) | posted by mono-mono
トースト焼けた? 20:12

「ストーリーのあるモノと暮らし」という副題がついている雑誌「ku:nel」の出現はなかなかに衝撃的でした。
ピカピカの新品に囲まれた生活ではなく、例えば部屋の写真からそこに暮らす人のぬくもりを感じさせるような価値観。
使い込まれたフライパンやくたっとするくらいになったトートバッグに「イイなァ」と思えるような人向けの雑誌なのです。
わかります?(笑)
この雑誌の適度な軽さも私は好きです。

そして隔月刊という発行ペースもなかなかよろしいですよ。
2003年の創刊から31号ということですが、初期の手作り感が若干薄れ、広告スペースも少しずつ増えてるように感じますが、これからもガンバっていただきたいモノです。
きっと制作の裏側ではこの辺のジレンマや闘いが繰り広げられているのではないでしょうか(大きなお世話ですが…)。

そして最新号の特集はなんと「トースト焼けた?」ですよ。
すごいでしょ。
編集長からのお言葉です。

  さて。
  今号は「トースト焼けた?」と題しまして、

  フレンチトーストの由来をたずねたり、
  フライパンでできるパンを作ってみたりという企画です。
  東京・築地の市場の一角にある喫茶店の
  お客さまによって変るトーストも紹介しています。

トーストで特集。
こんな雑誌ほかにありませんよね。
素晴らしい。

編集長は岡戸絹枝サン。
元オリーブ編集長だそう。
なるほど。
デザインはアリヤマデザインストアの有山達也氏。
この「なにげなく」「フツウ」に見えるエディトリアル。
写真のディレクションなど絶妙です。
ロゴマークはあの葛西薫氏。
写真は、長野陽一氏や長島友里枝さんなどシンとした空気を撮るのが上手なかたがた。
あれ?
長島友里枝さんって木村伊兵衛写真賞の長島有里枝さんと同じ人? 違う人?
写真の雰囲気は随分違うような…でもどちらも生活を撮っているといえるからなァ…。
どうなんでしょ。

この雑誌の音楽コーナーを以前ちらっと紹介したことがありました。
それはこちらからどうぞ。

「ku:nel」ウェブサイトもかなり充実しているのでカチカチやってみるのも楽しいですよ。


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| BOOKS & MAGAZINES | comments(10) | trackbacks(20) | posted by mono-mono
Johnny Cash !! 20:24
これは凄いヴィデオだ。
驚いた。
下のがまたミニマルで圧倒的に良いのですよ。







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| etc | comments(2) | trackbacks(6) | posted by mono-mono
カラーレーザー 09:59

仕事中のこと。
クライアントに提出する資料を数百枚プリントアウトしていた。
プリンタの調子が悪く、紙詰まりを繰り返しなかなか出力できなかった。
詰まった紙を取り出すとまた詰る。
この繰り返し。
サービスセンターに電話をしてみたが、すぐメンテに来てくれる訳もなし。
プリンタを再起動してまた挑戦。
しばらく待つとなんとかプリントが終わっていた。
やっとできたと思ったものの紙の端が一部ちぎれていたりする。
チェックすると使い物にならないページ多数。
まいったなこりゃ、と思いながら紙を点検していて面白いことに気が付いた。

紙がよれたりちぎれたりしているページの直後数枚の画像が歪んでいるのだ。
正しくは四角いものが、なんというのか、曲線の台形ってカンジに変形している。
面白い。
色も妙にヴィヴィッドだったりして不自然だ。
その昔の安い印刷物の「総天然色」といったら伝わるか。
そして、ゆがみの後には「版ヅレ」を起こした数枚が続く。
これまたなんとも風情があるのだ。

版ヅレ。

いいなァ、版ヅレ(笑)
大昔のメンコやなにかみたいだ。
ずれてゆがんで思いがけない風景が浮かぶ「版ヅレ」。
メンコ遊びなんて今どきの子供はやらないだろうけど。
盛大に版ヅレしたメンコで遊ぶ子供。
大らかな時代だな。
そんなことが当たり前の時代には、みんな細かいことに目くじら立てず緩やかだった。
ヒステリーなんて言葉が生きていた時代。
みんなもっと穏やかだったってことだろう。
現代はすべてに神経過敏。
みんなちょっとのことでキ〜っとなる。
気が付けば私もそんな時がある。
いけない、いけない。

今ではささいなことでクレーム必至。
メーカーもそれを気にして必要以上に検品に気をつける。
悪いことじゃないようにも思う。
反面、悪循環?とも思う。

日々、もっと大らかな気持ちでいられないものか。


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