村上春樹氏の新刊「ひとつ、村上さんでやってみるか」というのが出ている。
これは、期間限定のウェブサイトを窓口にした、読者とのメールのやり取りをまとめたシリーズ第3弾。
村上春樹ファンからすれば、ウェブサイトから直接本人とやり取りできるチャンスだし、幸運なファンは自分のメールが本になってしまうという幸運が待っている(かも?)。
村上春樹嫌いからすれば、なんだよこんなテキトーな内容で稼ぎやがってチェッ、というべき薄っぺらな本(かな?)。
かくいう私からしても、正直、村上サンは上手いことやるなァ、と思いながらも買ってるし(笑)
活字中毒気味な人間には暇つぶし(?)にはもってこいな1冊、ということにしておきましょう。
いや、ほんとどうでも良い内容で、決して人には薦めませんよ。
実際私、第2弾は買わなかったのですが、今回は時間をつぶさなければいけないようなしょうもない仕事があったものでつい買ってしまいました。
値段も1,400円と実に微妙な(巧妙な?)設定。
ウ〜ン、どこまでも上手いゾ!
読者メールとそれに対する村上氏のコメントから出来ている本なので、短いスパンで区切りが入りそれゆえ時間つぶすにはもってこい、週刊誌感覚でパラパラと読めるのがいいですね。
はじめからでも、見出しが気になったところからでも、読み方もご自由にどうぞ。
私が村上氏の軽い読み物で気になる話題といえば、オーディオか音楽の話。
ささっと拾い読みしても、いくつか出てきたのがレコードハントの話。
このウェブサイトが開設されていた2006年3〜6月のあいだ、彼はアメリカのケンブリッジに滞在していたということで、
チャーリー・マリアーノの「A Portrait of Charlie Mariano」を
25ドルで入手した
とか
ベヴァリー・ケニーの「Sings for Playboys」のオリジナルのきれいな盤が
5ドルだった
なんてどこまでほんと? なんて羨ましい話題がちらほら出てきます。
村上氏はこういいます。
僕はお金さえだせば好きなものが買えるという風潮があまり好きではありま
せん。どんなに珍しいものでも5,000円以上だすことはほとんどありません
(年に2回くらい)。
〜中略〜
お金よりは身体をこまめに動かしてレコードを集めたいと思っています。
ほんとか? と突っ込みたい気持ちは取り敢えず置いといて、なかなかこんな台詞いえるものではないですよね。
いまだに暇さえあればレコード屋を巡る彼らしい発言ではないでしょうか。
お金もなければ、レコード屋を巡る時間もどんどん無くなりつつある私にはかなり羨ましい。
まあ、大金持ちの余裕の発言ともとれますが(むしろそっちか? だいたい、欲しいのは買い尽くしてるんだろ、なんて)。
最後に、こんなエピソードで。
このあいだ「デイブ・ブルーベック・アット・ストーリーヴィル(Fantasy
10inch)」のオリジナル盤をたったの5ドルでみつけまして、
盤質は汚かったんだけど、あまりに安いので「まあいいか」と買ってきて、
ためしに毎日ごしごしと心を込めて磨いていたら、思いがけずきれいになって、
ほとんどスクラッチなしできけるようになりました。
いい話ではないですか?