これから述べる、船越桂と武田百合子の関係は、私たち夫婦以外誰にも分からないものです。
私と妻にとってのみ意味がある、そういう関係だからです。
私たち夫婦が勝手に、両者をつなげているともいえます。
この日曜日に、この2人の交差する、ある「場所」にいってきました。
その場所とは、中目黒にある、お寺が運営している彫刻美術館のことです。
その彫刻美術館に船越桂の作品があり、お寺の墓地には武田百合子さんのお墓があるというわけなんです。
ご存じない方のために、この2人を紹介しておきましょう。
船越桂とは現代日本を代表する彫刻家。
武田百合子とは、作家・武田泰淳の奥様にして、名随筆家。
独身時代に妻とこの美術館を訪れました。
そこで写真の彫刻に出会いました。
それが私と船越桂の出会いでした。
衝撃的でした。
それまで私は彫刻を見て衝撃なんて受けたことはありませんでした。
あくまでも木彫でありながら、生きているようにリアルで、色々な感情を持った「女性」であるということに驚いてしまいました。
なにしろその「目」が彼女の人生を物語るという不思議。
後にドキュメンタリーでその「目」がキモなのだと船越桂が語っているのを見て、深く納得しました。
しかし、船越桂は私たち夫婦の通った美術大学の彫刻科の先生なのです。
私はデザイン科の所属だったとはいえ、全く作品を見たことなかったというのはかなり大きな問題です(笑)。
で、時はたち、結婚し子供が生まれました。
娘の名前をつけるにあたり、妻は武田百合子の娘さんの名前である「花」が良いといいました。
「花」
素敵な名前だなあ、と思いました。
私には、ブロッサム・ディアリーという、大好きなジャズ・シンガーがいます。
ブロッサム、つまり「花」!
この二人にちなんで「花」と名付けました。
その後、武田百合子の、というか武田家のお墓がそのお寺にあるということを知り、お墓参りに訪れなければと思っていました。
今回やっとご報告できたというわけです。
私たちの家から自転車で10分ほどのところにあるお寺なのです…。
ご報告しなければ、と思い続けて5年ほどかかってしまいました。
久しぶりにこのお寺を訪れたのですが、彫刻の数も展示スペースも拡大していて驚きました。
しずかで落ち着いた場所ですし、これからも折々に訪れたいと思います。
野外にある数々の彫刻見て、チビ達は「あの人どうしてハダカなのッ」とか言って大喜びしていました。
そういえばこのちかくにキムタクさんのお宅があるという噂、ホントカナァ。