植草甚一さんは特別な存在だ。
私の、ひとつ上の世代が憧れた粋人である。
つまり、小西康陽さん、坪内祐三さんといった人をとおして私は植草甚一さんを知った、ということだ。
植草甚一さんは、昭和54年(79年)に亡くなっている。
それは、私が小学校3年か4年のころだ。
植草甚一さんの存在に、文章でもテレビでもラジオでも、直接触れたことはない。
植草甚一さんを描いた評伝や雑誌の特集が好きだ。
正直に言えば、本人の作品よりずっと好きだ。
タイトルにひかれて何冊かトライしたものの、読み切った作品はたぶん無い(笑)。
でも、タイトルが魅力的で、装丁が素晴らしくって、本棚に並ぶと嬉しい背表紙の本なのだ。
11月の南部古書会館での古書市には、何冊も彼の本が並んでいた。
サイン本が何冊かあった。
木島始さんへの献呈署名入りという、ため息もののお宝も混じっていた。
晶文社の植草甚一スクラップブックもずらりと並んでいた。
私はとびきりリーズナブルな値段のサイン本を一冊頂いてきた。
嬉しい。