MONOmonologueモノ(物→コレクション)とMONO(モノラルサウンド→レコード)をこよなく愛するオヤジの徒然日記。

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Arne(アルネ)10号 10:47

Arne(アルネ)は、イラストレーターの大橋歩さんが、自分のやりたいことを自分の出来る範囲でやりたいようにまとめた、50ページほどの雑誌です。
02年に創刊し、09年に惜しまれつつ終了しました。
その間、年4冊、30号まで発行されました。
私の手元にも、数冊ですが、そのアルネがあります。
すこし厚手のしっかりした紙が真ん中でホチキス止めされています。
ほんとうに手で作った冊子のようです。
紙面もいたって簡素です。
手描き文字があって、写真はときに不鮮明で大きさも置き方もそろっていないし、すきだらけの素人仕事みたいにみえます。
でもこれは計算づくの「ゆるさ」なのです。
大橋歩さんの神経の行き届いた世界とは、つまりこういうことなのです。
普通の人が一生懸命見やすいように伝わるように紙面をレイアウトしたらこうなるだろう、というデザインなのだと思います。
一見プロの仕事の対極にあるように見えますが、これもれっきとしたプロの仕事なのです。
洗練された完成度を誇る都会的なデザインがすべての場面で良いとは限りません。

持っているアルネのなかでも私にとって特別な1冊、アルネ10号をご紹介します。
「特集:赤木智子さんの家の仕事」
「おいしいコーヒー 代官山近辺編」
「オーダーでベーシックスーツをつくってもらう」
「人参とこんにゃくの白あえです」
表紙に並ぶ、大橋歩さん手描きの見出しはこれだけですが、実はスペシャルなページが隠れているのです。
見開きで10ページもあります。
表紙から順にページをめくっていくと、「おいしいコーヒー 代官山近辺編」に続いてそれは唐突に始まります。

「村上春樹さんのおうちに伺いました。」

先日このブログでも紹介した、村上春樹さんのエッセイ「村上ラヂオ」には、毎回大橋歩さんのエッチングが添えられています。
「アンアン」の連載が単行本としてまとめられた際に、大橋歩さんは村上さんにエッチングをプレゼントし、そのお礼として村上さん宅にご招待されたのだそうです。
大橋歩さんは村上春樹さんの長年の大ファンで、一緒に仕事できることにどきどきしたのだそうです。
「ファンの私にはお話しできるだけでも舞い上がるのに、おうちにまで伺えてどんなに幸せだったことか。」
この記事からは、少女のようにわくわくしている大橋歩さんが目に浮かびます。

リビングがあり、ダイニングがあり、キッチンがあり、書庫があり、村上春樹さんと奥様の生活が伺える写真がたくさん載っています。
ハイライトはなんといっても、村上春樹さんの仕事場でしょう。
書斎の正面にデンと置かれたJBLの黒いバックロードは、ジャズ喫茶「ピーターキャット」時代から使い込んでいるスピーカーです。
部屋の右サイドは一面が作り付けのレコード棚になっています。
「しょっちゅう古レコード屋に行ってさがされているみたい。どうやってさがされているかというと、5,000円以上は出さないのがポリシーだそうです。」
ほんとかなあ?と思いつつ、このあたりのストイックさが村上春樹さんらしい、とも私は思うのです。

最近ではメディアにほとんど登場しない村上春樹さんのプライベートがここまで見られるなんてとんでもなく貴重です。
ご夫婦のプライバシーへの配慮の結果が、一切クレジットなし、ということになっているのでしょう。
村上春樹さんと奥様も、大橋歩さんの大ファンなのではないか、というのがここに登場した理由ではないかと私は思っています。
それはとても素敵な関係です。


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| 村上春樹 | comments(6) | trackbacks(0) | posted by mono-mono
BACK ISSUE 22:00

「古い雑誌はタイムマシーンだ、すてないで大事に
 とっておきたまえ、と誰かが言っていた。」
という片岡義男のエッセイがある。
コーヒーでも飲みながら古い雑誌のページをめくると、たちまちその雑誌の時代へタイムトラベルできてしまうと誰かが言っていた、と片岡義男はそのエッセイに書いている。
こう書いたのち、片岡義男は50年代の大衆雑誌の大発掘を行うのだった。

なるほど、と思った私はすてないで大事にとっておいた雑誌を引っ張りだしてきた。
50年代の大衆雑誌ではない。
「GQ JAPAN 1994年10月号」である。
この雑誌は発売時に買ったのではない。
後に存在を知り、探したあげくに神保町にまで足を運び、それなりに苦労して手に入れたのだった。
それ以来、思い出したように手に取っては読み返してきた。
つまりちょっとした宝物なのだ。

「GQ JAPAN 1994年10月号」には、村上春樹によるインタビュー記事が載っている。
インタビューの相手はビル・クロウ。
ビル・クロウは、ジャズベーシストである。
村上春樹はビル・クロウをこう紹介する。
「50年代始めのスタン・ゲッツ・クインテットのベーシストであり、ジェリー・マリガンのピアノレスカルテットおよび伝説のコンサートジャズバンドのベーシストである。主役を張るタイプではないが、静かに確実に、時代の節々で心に残る演奏を残した」

彼のニューヨーク郊外の自宅を尋ね、二人はじっくりと語り合っている。
共演した数多くのミュージシャンのこと、ツアーで訪れた東京のこと、ベースという楽器のこと…。
村上春樹がビル・クロウのディスコグラフィを作って持って行ったら、「なかなかよく調べてあるね」と言って自分のコンピュータから2倍はあろうかというディスコグラフィをプリントアウトしてくれた!
このインタビューは今年出版された村上春樹の「雑文集」にまとめられているが、それまではここでしか読めなかった。
しかしその「雑文集」には、ニューヨーク郊外にあるビル・クロウ宅の気持ち良さそうな庭で語り合う二人の写真は載っていない。
ということでやはり、このバックナンバーは宝物なのだ。

このインタビューは、村上春樹がビル・クロウの著書「FROM BIRDLAND TO BROADWAY : Scenes from a jazz life」を翻訳したから実現した。
このGQが出た頃「小説新潮」に「FROM BIRDLAND TO BROADWAY : Scenes from a jazz life」は連載されていたという。
それは後に「さよならバードランド」という本となり96年に出版された。
私はその単行本で「さよならバードランド」を知ったので、GQのこの号が出てから2年ほどたっていた。
なのでこの雑誌のバックナンバーを入手するにはちょっと苦労したのだった。

アマゾンで「さよならバードランド」はこのように紹介されている。
「楽器ひとつあれば、この世は極楽だった。1950年代、ジャズ黄金時代のニューヨークで活躍したベーシストの自伝的交友録。スター・プレイヤーのエピソード満載。村上春樹による超詳細レコード・ガイドつき」
パーカー、エリントン、マイルズ、モンクといったビッグネームの逸話が並び、グッドマンのロシア公演では血気盛んだったミュジシャンを抱えて収拾がつかなくなってしまうなんていうエピソードなどがひょうひょうと語られる。
ジャズ好きなら絶対に楽しいこと請け合いの1冊である。

私のビル・クロウが参加している中でもっとも好きなレコードは、THE GERRY MULLIGAN QUARTET "What Is There To Say "である。
1音1音を慎重に、あるべき場所にそっと置くような演奏が聴ける。
是非どうぞ!




ここでベースを弾いているのはもちろん、ビル・クロウ!!






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| 村上春樹 | comments(4) | trackbacks(0) | posted by mono-mono
世界は中古レコード店だ 09:34

  僕の趣味はレコードのコレクション。
  守備範囲は主にジャズで、世界中どこに行っても暇があれば中古レコード店を探す。
  このあいだストックホルムに三日滞在して、三日間レコード屋に入り浸っていた。そ
  の間うちの奥さんはアンティック食器店に入り浸りになっていて(それが彼女の趣味
  なのです)、おかげで二人で買い込んだレコードと食器の重さで、帰りは死ぬ思いだ
  った。ストックホルムまで行きながら、市内観光なんて何もしなかった。変な夫婦だ
  よね。

  村上春樹「世界は中古レコード店だ」『村上ラヂオ』より

村上春樹氏のエッセイを読んでいると、ときどき音楽やレコードやオーディオの話が出てくる。
そのどれもが大好きで、彼の小説はあまり読み返したりしないのだけれど、音楽やレコードやオーディオのエッセイをときどき読み返しては幸せな気分に浸っている。

  長年にわたって中古レコード屋に通っていると。ジャケットを手を触れて匂いを嗅い
  だだけで、どの時期に発売されたものかおおむねわかるようになる。重さとか紙の手
  触りなんかで、「これはオリジナルだ」とか「これは再発だな」とか瞬時に見分けが
  つくのだ。くどいようだけど、これだけの熱意をもう少し有益なことにまわせれば
  ねえ…。

最初に読んだ時には、あまりピンとこなかったのだが、いまや私も「利きレコ」が出来るようになってしまった(笑)
レコードをさくさくしてると、オ!ってくるのである。
これはもう経験に裏打ちされ養われた「カン」といって良いだろう。
まあ興味があって好きでレコードを毎日さわっていれば数年で身に付く程度の技術なのだが。
レコードは、作られた年代やレコード会社によってジャケットの紙質が異なり、紙質によって重さが違うので手に持った瞬間ある程度の情報が手を通じて得られる。
また、レコード盤自体も年代やレコード会社によってずいぶん違いがあって、これも手を通じる重量感が情報として伝わって来るのだ。
レコードをさくさくしていて、おや?と思ってそれが古いレコードだって分かっても、欲しいレコードとは限らない。
レコードを引き抜いて「なんだ、いらないぞ」ってことが実はほとんどなのである。

この熱意をもう少し…なんてことを私は全然思わないのだけれど(笑)



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| 村上春樹 | comments(6) | trackbacks(0) | posted by mono-mono
ご趣味は? 08:04

どんな趣味をお持ちですか?と尋ねられたときに、音楽鑑賞、読書、映画鑑賞などは無難な答えとされ時に敬遠されたりもするようですが、私の趣味は音楽鑑賞で良いでしょうか(笑)
そんなこと聞かれることは今どき滅多にありませんけど。
まあ飲み会とかでたまにあるか。
お見合いなんてのも経験することはなかったな(笑)
ご趣味は?
レコードのほうを少々、なんてね。

しかし音楽鑑賞は私にとって趣味の域を越えて、完全に生活の一部と化しております。
うちではテレビがついてるとき以外は音楽が途切れることはありません。
妻は時に静けさを欲っしてるようですけれど…。
スンマセン。

皆、音楽を好きだとは思うのですが、けっこう何かしながら楽しんでいたりするように思います。
iPodとかはもちろん、部屋でも雑誌読みながらとか。
私は深夜に1人、部屋の照明を落としてじっくりレコードを聴き込みます。
これならば音楽鑑賞といって差し支えないでしょう(笑)
堂々と趣味音楽鑑賞と語って問題ないでしょう!
でも一度そういうことをいったら「変人」よばわりされてしまった。
これからは、いっそ趣味読書といったほうが無難かな。

主婦がスーパーに寄るように?
子供が駄菓子屋に寄るように?
私はレコード屋に寄るのです。
地元の行きつけのレコード屋から、見知らぬ街の初めてのレコード屋まで、そこにレコード屋がある限り私は雨の日も日照りの日も暑い日も寒い日も出掛けて行くのです。
問題でしょうか?(笑)
でもそんなことをもうかれこれ20年もやってるんだな。

先日村上春樹氏の「極めて個人的なメモワール」、「走ることについて語るときに僕の語ること」を読んでいてこんな一文に出会いました。

  どれだけのレコードを僕が所有しているかなんて、たいした問題ではない。数は大事な要素
  ではない。何枚くらいレコードがあるかと訊かれれば、「ずいぶんたくさんあるみたいだ。
  しかしまだ十分ではない」としか答えようがない。
  〜中略〜
  つまり、コンパクト・ディスクで持っている演奏でも、質の良いLPが見つかったら、迷う
  ことなくCDを売り払ってLPを残す。同じLPでもより音質がよく、オリジナルに近いか
  たちのものが見つかれば、迷わずそちらに買い替えていく。手間のかかる作業だし、費用も
  ばかにならない。世の人々の多くは、そういうことをする人間をマニアと呼ぶかもしれない。

イイでしょ。
勇気づけられるなァ。








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幸福はジョーという名の男 09:17

村上春樹と和田誠のコンビと言えば「ポートレイト・イン・ジャズ」が印象的でした。
和田誠の描くジャズミュージシャンに村上春樹があくまで個人的な思い入れを描いた素敵な絵本です。
登場するジャズミュージシャンはビッグネームばかりではなくて和田誠の思い入れを感じさせてくれます。
折に触れて読み返すお気に入りの一冊になっています。
ボビー・ハケット、ケントン/クリスティのデュエットなど、この本で出会ったレコードも少なくありません。

近刊の「村上ソングズ」では、村上春樹が好きな唄を自ら翻訳しその時代背景や想い出を語っています。
そこに和田誠のイラストが付けられています。
取り上げられているのは、BEACH BOYS の"God Only Knows"から始まる27曲。
読み出せばさらりと終わってしまう本です。
あっという間です。
だからこそ「ポートレイト・イン・ジャズ」がそうだったように、手元においてレコードを聴きながら何度も読み返したい本です。

昨年暮れの発売時に、レコードを一枚買うかこの本を買うか迷い、レコードに軍配を上げて以来存在を忘れていました(笑)
先日図書館で発見し、早速借りてきました。
故に、返却しなければいけません、残念ながら。
そのうち文庫になったら、あるいはブックオフで中古でも買いましょう(笑)
あれタイトルは、ソングスではなくソングズ、ですか。
知らなかった。

この本での個人的な収穫は何といっても「幸福はジョーという名の男」の章。
19ページにありました。
多くの人は気にもしないところかもしれません。
本書にはページ下に小さく、取り上げた唄が収録されているレコードを紹介しています。
それらは村上春樹の所蔵盤のジャケット写真ということになっています。

19ページにあるそのレコード、NANCY WILSON「BUT BEAUTIFUL」を見てハッとしました。
にんまりとしてしまいました。
それは村上春樹がズッと昔、ジャズ喫茶をやっていたころからの愛聴盤であることを物語る「印」がついているのです。
彼のお店「Peter Cat」のハンコです。
お店をたたんだ際に、処分したレコードもあったそうなので、この盤は処分しないで持っていたんだなァ。

以前、私はこのハンコの押されたレコードを発見し記事にしたことがありました。
これで確かにあの盤が彼のお店からやってきたことに確証が得られました。
嬉しいな(笑)
 ↓ それがこいつ ↓



その記事はこちらからご確認ください → 震えるほどの激レア盤!

記事中からもリンクしてますが(笑)彼のサイン本をしつこく自慢しちゃおッと(笑)
こちらからどうぞ → 「村上春樹」のサイン本



本書でも取り上げられている、BRUCE JOHNSTON「DISNEY GIRLS」。
泣けるなァ。
後ろで寝てるのは……カール?(笑)



曲も良いし、シェリルはカッコいいし(このビデオはどうかと思うが)、その上歌詞も素晴らしい。
歌詞が決まらなくて書店で詩集を読みまくってこの詩に出会った、なんてエピソードも出来過ぎだ。
THIS IS L.A かァ。
ク〜ル!!








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| 村上春樹 | comments(2) | trackbacks(0) | posted by mono-mono
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